総主事コラム#8 執筆担当:吉澤慎也(総主事)
前回のブログでは、かつて教会には子どもや若者が大勢いたが、今日の教会においては非常に少なくなってしまっていること、そして、かつて教会にいた若者たちは何故離れてしまったのかを教会全体で改めて問い直すべきこと、などについて書き記した。今回は、戦後の福音派教会の歩みを概観しながら、同様のことをもう少し具体的に指摘してみたい。
戦後5,6年の間、日本にはキリスト教ブームが訪れた。教会は多くの求道者であふれ、キリスト教の講演会や伝道会といえば、どこも満員の盛況だった。この時期に、福音派教会は熱心に伝道し、新しい教団もたくさん生み出された。この時代を戦後福音派教会の「始動の時代」と呼ぶことにする。
その20~30年後、1970年代から1980年代にかけて、福音派教会の教勢は著しく伸び、飛躍的な成長を遂げる。これは「始動の時代」の教会の取り組みの結実に他ならない。教会学校には、教会員の子弟も、近所の子どもたちも、実に大勢が集まって来た。この時代を「飛躍の時代」と呼ぶことにする。
「ある時期からの日本のキリスト教会では、青年の姿が大きく減り続けてきた」(『21世紀の福音派のパラダイムを求めて』p.87)と言われるが、おそらくこの「飛躍の時代」以降に、教会の青年の数が減少していったのではないかと筆者は考えている。それはすなわち、この時代に教会学校に来ていたクリスチャンホーム出身の子どもたちの多くが、その後(中高生時代に?)教会から離れてしまったためである。教会から青年たちが減り、結婚し親になる世代が減り、その子どもたちが減る、ということが、結果的にその後の教会に起こっていったのであろう。
「このままでは、次の時代にキリスト教会存続し得ないのではないか」(同上)と危機感を覚えた福音派教会は、日本福音同盟(JEA)が2003年に世界青年宣教大会「すっと青山」を開催し、2004年に「青年委員会」を設立するなど、青年宣教・次世代育成に懸命に取り組んできた。この世代を「危機の時代」と呼ぶなら、「危機の時代」以降の教会の信仰継承を励ますことに筆者の関心はある。
そしてそのためには、「飛躍の時代」の教会の信仰継承の課題とは何だったのか、また「飛躍の時代」を生み出した「始動の時代」の福音宣教と教会形成の課題とは何だったのか、ということを改めて問い直すことが、今こそ必要だと思う。
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