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教会における信仰継承について・その14

  • 執筆者の写真: KGK公式ブログ
    KGK公式ブログ
  • 11月7日
  • 読了時間: 2分
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証し#118 執筆担当:吉澤慎也(総主事)


以前、地方のある教会の礼拝に出席させていただいたことがある。礼拝出席者は40人くらいいただろうか。その地方の地域性を鑑みると、比較的規模の大きな教会と言えるかもしれない。教会員はみな生き生きとしており、牧師のメッセージには力があった。


その教会での交わりを通して考えさせられたことがあった。それは、地方の教会で育った若者たちの多くは、やがて都市部に移住していき、また同じ教会に戻ってくることはあまりないという現実だ。このような現実を前に、いずれはその教会から去っていってしまうかもしれない教会の子どもたちをしっかりと育て、そして他の教会へ送り出していくということは、その教会にとって、次世代育成に対するどれほどの覚悟と熱意と忍耐とを要することだろうかと思わされたものだ。「せっかくがんばって関わってきたのに、どうせいなくなっちゃうんだから…」「一生懸命育てても、出るものばかりで、教会に返って来るものはほとんど何もない…」というような残念な声が聞こえてきたとしても、それでもなお精一杯取り組んでいる地方の教会の姿勢には、本当に頭が下がる思いがする。


一方で、これまで私は都市部のいくつかの教会に出席してきた。ある教会では、毎年春になると、上京してくる大学生や新社会人が数名来てくることがあったし、それが期待されてもいた。他の地域の教会で育てられた青年クリスチャンたちが新たに加わってくれることは、その教会にとって大きな期待と喜びを生み出していた。


地方から都市部へのこのような青年クリスチャンの流れは、現代の日本の教会において頻繁に起きていることではないだろうか。そしてこの現象は、おそらくこれからも続いていくだろうし、誰かが悪いというわけでもない。


この現象に積極的な宣教協力の意味を持たせるとしたら、新しい青年クリスチャンが来てくれるようになった都市部の教会は、その青年を送り出してくれている地方の教会に対して、定期的に献金するというアイディアはどうだろうか。それは、その地方の教会の喪失感に比べたら、僅かな励ましにしかならないかもしれない。しかしその献金が、その地方教会における次世代育成のためにさらに用いられていくとしたら、地域を超えた宣教協力の具現化と日本の教会全体の活性化につながるのではないだろうか。

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