ショートメッセージ#3 執筆担当:橋本一空(関東地区担当主事)
「その夜、主がパウロのそばに立って、『勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのこ とを証ししたように、ローマでも証しをしなければならない』と言われた。」
使徒の働き23:11(新改訳2017)
苦しみの中にいる人を前にした時、あなたならどのような言葉をかけるでしょうか。
相手との関係性や状況によっても変わるでしょうが、どんな言葉を選ぶかと言うのはとても悩ましいものです。
「元気出して」「大丈夫だよ」「頑張って」
どの言葉も決して悪い言葉ではありません。
しかし、どこか浅はかで頼りない言葉のようにも思えます。
パウロがエルサレムで証したために、理不尽に捕らえられ囚人となっているまさに苦しみの時に、神様は「勇気を出しなさい」と語られました。
勇気を出せって言われたって、これからどうなるかもわからないし、囚人の身で自由に動くことすらできないじゃないか。
そう思ってしまいそうな現実です。
現にこのあと秘密裏にパウロの暗殺計画が計画されようとしているのです。
しかし、神様は語られます。
「あなたは、エルサレムでわたしのことを証ししたように、ローマでも証しをしなければならない。」
神様のフォーカスは、悪い状況ではなくて、ご自身のご計画に向いています。
ここにはパウロを必ずローマまで導く、その道のりを、共に歩み続けるという神様の力強い約束があります。
「勇気を出しなさい」という言葉は口先だけの浅はかな励ましではなく、世界を創り、今も治めておられる王なる神様がパウロの人生に責任を持って共に生きようとされている、その愛の決断の言葉です。
この言葉は苦しみの状況から自分の力で抜け出そうともがくのではなく、神様の御手の守りの中で安心して歩むという招きの言葉、良き知らせなのです。
私たちは困難な状況の中で、現実の問題にばかり心が向いてしまうものです。
課題や就職活動
学校や職場、家庭での人間関係
なかなか消え去らない罪との戦い
時には奉仕することさえも私たちの目を眩ませることがあります。
聖書が語る福音は、私たちが「楽になる」ことではなく、唯一の希望であり、勝利であるイエス・ キリストとともに歩むことができる、神が私たちとともに歩んでくださるということです。
「勇気を出しなさい。」
今日もあなたに語られる招きがあります。
この招きに応え、神様の御手に身を委ね、神様を見上げていきたいのです。
その小さな積み重ねこそが「遣わされた地で福音に生きる」歩みではないでしょうか。