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仕事と人間:聖書神学的考察

更新日:6月20日


良書紹介#7 執筆担当:山形宣洋(関東地区副責任主事)


【アラン・リチャードソン著、西谷幸介訳『仕事と人間:聖書神学的考察』新教出版社、2012年】


「聖書は労働について何と語っているのか?」働くキリスト者にとって、そのような疑問をもつことは自然でしょう。なぜなら、神様が造られ「見よ、それは非常に良かった(創1:31)」と 言われた世界において、労働も「非常に良いものであるはずだ」と信じているからです。


しかし、「何と」と問う背景には、私たちが神様と口を揃えて「非常に良かった」とは言えない、暗闇の現実が「仕事」において強く感じるからでしょう。敬虔なキリスト者であれば、全ての時間を神 様の栄光のために生きたいと願います。しかし、時間の大半を占める仕事が、神様の栄光を表しているとは思えないのです。


本書は、そのように苦しむキリスト者だけでなく、働く全てのキリスト者にも、疑問に答え、仕事に聖書的確信を与える一助となる一冊です。

「聖書が何を語っているのか?」本書はこの観点からブレません。だからこそ、著者は強い確信をもって「~です」と言い抜くのです。また、私がこれまで「聖書的だ」と思っていたことが、「本当に聖書的なのだろうか?」と本書を読む中で何度も問われます。


そして、「聖書的だ」と思っていたことが、実は聖書に根拠をもたず、文化的影響や外的影響に起因していることにも気づかされるのです。そのような気づきに出会ったとき、これまで信じてきた「聖書的」が、実は「律法主義的」であったことに気づき、私はショックを受けました。


しかし読み進めていくと、少しずつ気持ちが楽になっていきます。なぜなら、本書は絶えず「聖書が何を語っているのか?」の後に、「キリストはどのようであったか?」を語るからです。


キリストに目を向ける時、罪によって堕落した世界(仕事)に一筋の光が差し込みます。


「キリストの奉仕、その固有の仕事とは、神の律法を人間として成就することによって人類を 罪より贖い出すということでした。<本書80pから抜粋>」


公生涯が始まるまで、忠実に大工として仕えられ、家族を養っていくことを選ばれたキリスト。 「時が満ち」た時、神の国の福音を語ることに召されていったキリスト。そのようなキリストの模範を見つめながら、このお方に倣って仕事に打ち込むことができ、キリストに倣う生き方をも 「恵み」として受け取れることに励ましを覚えることができます。


本書は、仕事を頑張るモチベーションUPに役立つ本ではありません。むしろ、これまでのあなたの人生に「キリストはどのようであったか?」を問う一冊であり、祈りながら「主よ、教えてください。」と黙想する機会を与え、読者がキリストの恵みを思い起こし、恵みにすがりながら働くことができる喜びに立ち返らせてくれる一冊なのです。


なお、本書の著者はいわゆる福音派ではないため、聖書学についての用語に違和感をもつ方もいらっしゃると思います。議論の本筋には影響がない部分ですので、ご自身の立場を大切にしながら、本書の内容を受け取っていただけますと幸いです。

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